ITを駆使した業務効率化を進める若き専門家チーム、行政書士法人GOAL。徹底した「手入力の削減」と、そこから人へ還元する仕組みを構築しているのが特徴だ。
代表含め8名の行政書士、半分以上は若いが独立開業経験がある人ばかり。各自が職人レベルの専門分野を持つチームで、働き方も個性的、それをうまくバインドしているのが、業界で抜群の知名度を誇る石下様と、共同代表の若林様だ。
今回は、若林様に「MakeLeaps for Salesforce (以下、ML4SF) 」の導入前の課題、導入後の効果、今後の業界におけるIT化についてお話しを伺った。
「SalesforceとMakeLeapsを導入した」その理由
案件と売上の紐付けが不可欠。誰がやっても同じ作業には、1分足りとも使いたくない
導入前ですがどんなことが課題でしたか?また、ポイントとなった「手入力」はどれ位あったのでしょうか?
若林様:「請求書の作成自体は、別のソフト使っていたので特に非効率だった訳ではないのですが、Salesforceと繋がっていなかったため、とにかく二度打ちしていました。」
まず請求書を作成、送付し、紐づく請求書番号、請求金額、日付、費目といった情報を、Salesforce 案件の「請求」というカスタムテーブルに、請求書のPDFから一つ一つコピー&ペーストしていた。そのPDFも、手動で添付ファイルにアップロード。更には、わざわざネットバンキングに入金状況を確認しに行き、入金日も同じテーブルに手入力していたと言う。
一つ一つの作業は単純ですが、積もれば膨大な時間と作業ですよね。
若林様:「僕も本当に嫌で、社内でも不評。全然定着しませんでした。しょうがないので、全体ミーティング後に請求部分を入力する時間をわざわざ設けて居残り宿題とか。させる方も、されている方も嫌だったし、非効率なことは誰もがわかっていたと思います。本来、案件と売上金額をより詳細に可視化していこうというのがSalesforceを導入したモチベーションだったのに、肝心の金額が正確に、タイムリーに案件に紐付いてこないので、本末転倒でした。」
行政書士という仕事は、顧客に提供する時間が商品そのもの。いくら効率化といっても、実際に訪問したり、要望を聞いたりする属人的な業務はサービスとして「プレミアム」の部分であり、効率化するわけにはいかない。
若林様:「そうなると、誰がやっても同じ作業には、1分足りとも使いたくない。だからデータの転記といった時間はますます嫌になるんですね。そういう時間を省いて、お客様への気配りといった「プレミアム」を発揮する時間に当てたかったんです。」
全自動化にこだわり、追加開発も入れて「手入力ゼロ」へ
人間はサボるし間違える、機械はサボらないし間違えない
そこで導入したML4SFですが、実際にどんな効果がありましたか。
若林様:「まずはポイントだった、案件と売上の紐付け。そして入金消込、これがML4SFではすごく簡単にできる。それによって、滞留案件と呼んでいる、引き合いから請求書も発送しているがお客様対応待ちで滞っている、そんな案件の追っかけも可能になりました。重要だった会計ソフトへのデータ移行もシームレスで、案件発生から会計への一連の流れがSalesforce上で完結しました。何より、データが揃ってきたことで、社員がSalesforce上で物を考えるようになりましたね。情報がSalesforceの案件に全て集約されてるので、請求から入金状況まで全て一度に確認できる。これは間違いなく定着するなと感じます。」
初期費用なしでスタートできたにも関わらず、追加開発を決めましたね。それはなぜでしょうか。
若林様:「まず弊社の特徴として、非課税対象となる「預かり金」と、課税対象となる「報酬」が混在している請求書を作成しています。そこで、費目ごとに課税・非課税を自動指定できるようカスタム開発を依頼しました。また郵送時の送付元住所も、担当者(商談所有者)が手動で選択する形だったので、それも自動反映されるようにしました。」
そこまでして社員の手作業をなくした理由は何でしょうか。
若林様:「手作業ってミスるからです。どんな人間でも、日によって具合が悪い時も、楽しくてしょうがない時もありますよね。誰がしても、出来るだけエラーの出ない仕組み作りが重要だと思います。基本社員に「やれ」と言わずに、システムで解決できるように考えるのが、経営の仕事かなと思います。」
若林様:「手作業にかける神経というのは、戦略的思考に使うべきですよね。人間に限界がない、というのは僕は嘘かな、思っていて。クリエイティブの領域は限界がないかもしれませんが、(転記作業といった)非クリエイティブな領域には限界がある。転記してる自分は相当できの悪いロボットだな、とも思います(笑)。人間はサボるし間違える、機械はサボらないし間違えない。人間が苦手なことは、プログラムに任せるのが一番。そこで、できるだけ入力がない仕組みを作りたかった。最終的にそれが決め手になりました。」
「人に還元する」 社員の努力を、きちんと評価するために
人に還元する
行政書士法人GOALには、「人に還元する」という、設立当初から守り続けてきた会社方針がある。どんなに厳しい状況でも、社員への賞与は必ず支払う。努力に対して正当な評価を行い、きちんと人に還元していきたい、というものだ。
売上に直接結びつかなくとも、結果として顧客満足向上や案件化につながった時間工数は評価対象に入れ、相対的な人事評価を給与体系のベースにしたい、という思いがある。しかしそれには、社長を含めた社員全員の時間と行動のタイムリーな可視化が不可欠であり、そのデータ収集には膨大な時間と各自の手入力作業を有する。
若林様:「月報なども試しましたが、別のどこかから数字を持ってくるというのは大変。正確さを欠き、タイムリーさを欠き、定着しないんですね。」
そこで、Salesforceの案件内にリードソース、取引先責任者の名刺情報、売上、紐づく見積、請求、その入金状況と、文字通り全ての情報を集約し、メンバーごとにレポートを作成、ダッシュボードに表示させることにした。社員の負担は大幅に軽減され、同時に努力に見合った対価をきちんと算出する仕組みと指標ができる。
若林様:「社員には、社長(共同設立者)が社員の知らないところで、泥臭くて数値化しにくい営業で案件を増やしているかを知って欲しいんです。また互いの給与こそ見えないものの、社員同士で数字を常時確認できれば刺激になり、仕事のモチベーションも高まります。」
GOALで働く社員たちは、在宅勤務する主婦から、欧米でバンドツアーをしながら仕事をまっとうする社員まで、働き方も様々だ。会社として勇気がいる決断ではあったが、本人たちも働き方が特別であることはわかっているからこそ、会社にコミットして働いてくれる。
若林様:「コミュニケーションツールなどのクラウド製品は、そんな社員達との協業を支える意味でも広く利用しています。今回、SalesforceとMakeLeapsが繋がったので、それこそどこからでも請求書を送ったり、入金消し込みしたり出来ますね。」
多くの手続きは簡略化の方向へ。IT化しても、属人的でありたい
行政書士としての生き残りをかけた、二極化になる
現在多くの行政手続きは、規制緩和の影響で簡略化が進んでいる。処理する紙の枚数が多いのが業界の特徴であったが、IT促進の波は若い世代を中心に急速に進んでいく。
若林様:「今後は、行政書士としての生き残りをかけて(ITやクラウドの業務ツール)をどんどん取り入れるか、全く使わないか、の二極化になると思います。多くの書類がオンライン提出できるようになり、役所に行く必要もない。それはマイナンバー(制度)で更に加速するでしょう。極端に言えば、AIで出来る仕事は無くなっていく。」
各自の専門性をもっと高めて、属人的にしていきたい
業界のIT戦略として一般的なのは、案件獲得のためのウェブ広告やランディングページ、SEO対策等。周囲も取り入れているが、競争が激しい上に粗利は悪くなる一方だ。
若林様:「これからは業界初のオウンドメディア運営にも挑戦して、アナログと上手く組み合わせて、ブランディングや各メンバーのキャラクターをアピールしていく戦略です。」
ただGOALとしては、IT化の流れは存分に利用しながらも「逆の方向に行きたい」という。
若林様:「効率化して無駄がなくなっても、顧客満足度を下げるような効率化は良くない。効率化や標準化できるところは進めつつ、顧客満足度をあげる時間に注力して、非コア業務はツールで効率化していきます。この人だから依頼したい、と言ってもらえるよう、顧客に対しては各自の専門性をもっと高めて、常に属人的でありたいですね。」
(インタビューを終えて)
取材中は、終始笑顔で丁寧に質問に答えてくださいました。4児の父でもある若林様は、仕事と家庭のバランスをとても大事にしています。日々仕事と子育ての両立に奮闘している若林様だからこそ、業務効率化の大事さを痛感でき、若い社員にも無駄な仕事をさせないという強い想いが生まれたのだと感じました。挑戦的でチャレンジングな行政法人GOAL様を、MakeLeapsは応援し続けます。
若林様、ありがとうございました!
会社名 | 行政書士法人GOAL |
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URL | http://go-al.co.jp/ |
所在地 | 〒104-0061 東京都中央区銀座1-15-7マック銀座ビル402 |
事業内容 | 各種許認可 / 法人設立 / 社労士業務 / 資金調達支援 |